科目名称 基礎有機化学
科目名称(英語) Fundamental Organic Chemistry
授業名称 基礎有機化学
教員名 木村 力
開講年度学期 2016年度 前期~後期
曜日時限 前期(金曜7限)、後期(金曜7限)
開講学科 理学部第二部 化学科
単位 4.0 学年 1年
科目区分 専門基礎 履修形態 必修
授業の概要・目的・到達目標 [概要]
 有機化学は、炭素骨格を基本とする化合物、すなわち有機化合物の構造や性質、反応性を扱う学問です。基礎有機化学では、有機化学の基本的概念について主に飽和および不飽和炭化水素(アルカン、アルケン、アルキン)を具体例に挙げ学習します。有機化学に携わる研究者や技術者に必要不可欠な有機化学の基礎知識を修得することができます。

[目的]
 関門科目である基礎有機化学では、有機化学1−1以降の上位科目を履修する前の準備段階として有機化学の基礎を学び、有機化学を深く理解する能力を身につける。

[到達目標]
・有機化合物の立体構造について説明できる。
・結合の性質と反応性について説明できる。
・反応機構について説明できる。

 本学部学科のポリシー、専門性のあるキャリア形成、学士力や社会人基礎力の涵養等を具体的に実現するための科目です。
 講義で扱う内容項目については、少なくとも単位取得程度には十分に理解・習得できる、さらには身に付けたものを適切に応用できることを目的とします。
履修上の注意  当該科目は関門科目であり、単位取得が上位の科目履修の条件となります。
 各章の補足資料をLETUSで配布します。印刷して持参すること。
 採点済みの小テストはLETUSで返却します。
 途中退室は原則として認めません。出席に関する不正行為を行った場合は、単位を認定しないことがあります。
 剽窃レポートは0点とします。
 講義中の私語、飲食、携帯電話やスマートホンの使用は禁止します。
準備学習・復習  各回の授業前に1時間程度、指定した教科書の該当箇所を読んでおくこと。
 各回の授業後、講義の内容を復習し教科書の章末問題を解くこと。
 内容理解に必要な基礎事項の確認や予習・復習を各自十分に行うこと。一般的な目安として、1単位の授業科目の標準学修時間は、45時間とされています。
成績評価方法  試験80%、小テスト10%、レポート10%。
 各章が終了した段階で小テストを行います(計8回)。
 夏期および冬期にレポート課題を課します。夏期および冬期の休業期間終了後の初めの講義日に提出すること。
教科書 マクマリー有機化学(上)第8版 (東京化学同人)
J. McMurry 著
伊東 椒, 児玉 三明, 荻野 敏夫, 深澤 義正, 通 元夫 訳
参考書 マクマリー有機化学 問題の解き方(第8版) 英語版 (東京化学同人)
S. McMurry 著

マクマリー有機化学(中)第8版 (東京化学同人)
J. McMurry 著
伊東 椒, 児玉 三明, 荻野 敏夫, 深澤 義正, 通 元夫 訳

マクマリー有機化学(下)第8版 (東京化学同人)
J. McMurry 著
伊東 椒, 児玉 三明, 荻野 敏夫, 深澤 義正, 通 元夫 訳
授業計画 [前期]
1. 構造と結合1
原子の構造(原子核、軌道、電子配置)および化学結合論の発展について学ぶ。

2. 構造と結合2
化学結合の表記法、メタンの構造(sp3 混成軌道)、エタンの構造(sp3 混成軌道)、エチレンの構造(sp2 混成軌道)について学ぶ。。

3. 構造と結合3
アセチレンの構造(sp 混成軌道)、ヘテロ原子の混成、化学結合の表記、化学構造の書き方について学ぶ。

4. 極性共有結合;酸と塩基1
極性共有結合、形式電荷および共鳴について学ぶ。

5. 極性共有結合;酸と塩基2
共鳴構造の規則をもとに共鳴構造が書ける。Bronsted-Lowry の定義に基づく酸と塩基およびその強さについて学ぶ。

6. 極性共有結合;酸と塩基3
pKa を用いる酸塩基反応の予測、有機酸と有機塩基、Lewis 酸と Lewis 塩基、非共有結合性相互作用について学ぶ。

7. 有機化合物:アルカンとその立体化学1
官能基、アルカンとその異性体、アルキル基について学ぶ。

8. 有機化合物:アルカンとその立体化学2
アルカンの命名法、アルカンの性質、エタンの立体配座、他のアルカンの立体配座について学ぶ。

9. 有機化合物:シクロアルカンとその立体化学1
シクロアルカンの命名法、シクロアルカンのシス−トランス異性、シクロアルカンの安定性(環ひずみ)について学ぶ。

10. 有機化合物:シクロアルカンとその立体化学2
シクロアルカンの立体配座およびシクロヘキサンの立体配座(アキシアル結合とエクアトリアル結合)について学ぶ。

11. 有機化合物:シクロアルカンとその立体化学3
一置換および二置換シクロヘキサンの立体配座および多環式分子の立体配座について学ぶ。

12. 四面体中心における立体化学1
四面体炭素における鏡像異性体、分子の対掌性の原因、光学活性およびPasteur の鏡像異性体の発見について学ぶ。

13. 四面体中心における立体化学2
立体配置表示のための順位則、ジアステレオマー、メソ化合物、ラセミ体と鏡像異性体の分割について学ぶ。

14. 四面体中心における立体化学3
異性現象についてまとめる。ヘテロ原子のキラリティー、プロキラリティー、自然におけるキラリティーについて学ぶ。

15. 到達度評価試験と解説
本科目内容の到達度(達成度、修得度)の確認と内容に関しての解説を行う。

[後期]
16. 有機反応の概観1
有機反応の種類と反応機構について学ぶ。ラジカル反応と教区性反応の反応機構の書き方を身につける。

17. 有機反応の概観2
反応エネルギー図を、反応族度、エネルギー変化、遷移状態、中間体と結びつけて理解できる。

18. アルケン:構造と反応性1
アルケンの製法と用途、分子の不飽和度の計算法、アルケンを命名法について学ぶ。

19. アルケン:構造と反応性2
アルケンの立体化学(シス-トランス異性体、E, Z 表示法)および安定性について学ぶ。

20. アルケン:構造と反応性3
アルケンの求電子付加反応とその配向性、カルボカチオンの構造と安定性について学ぶ。

21. アルケン:構造と反応性4
Hammond の仮説と求電子付加の機構に対する証拠について学ぶ。

22. アルケン:反応と合成1
アルケンの製法、アルケンのハロゲン化(ハロゲンの付加)およびアルケンからのハロヒドリンの合成(HOX の付加)について学ぶ。

23. アルケン:反応と合成2
オキシ水銀化によるアルケンの水和、ヒドロホウ素化によるアルケンの水和およびアルケンの還元について学ぶ。

24. アルケン:反応と合成3
mCPBA によるアルケンの酸化、オゾン酸化によるアルケンの酸化的開裂およびアルケンからのシクロプロパンの合成(カルベンの付加)について学ぶ。

25. アルケン:反応と合成4
アルケンへのラジカルの付加、アキラルなアルケンへの水の付加およびキラルなアルケンへの水の付加について学ぶ。

26. アルキン:有機合成序論1
アルキンの命名法、製法、酸やハロゲンの付加反応について学ぶ。

27. アルキン:有機合成序論2
アルキンの水和、還元、酸化的開裂について学ぶ。

28. アルキン:有機合成序論3
アセチリドアニオンの生成とアルキル化について学ぶ。

29. アルキン:有機合成序論4
逆合成について学び、合成経路を計画できる。

30. 到達度評価試験と解説
本科目内容の到達度(達成度、修得度)の確認と内容に関しての解説を行う。

 キャリアも視野に入れ、研究職・技術職・教職等に必要となる知識・教養や技術等を学習する。
 授業改善アンケートをふまえて、ペースやレベルについてこられるように、各回の講義内容範囲の予習ならびに、知識の定着や演習問題等の復習につとめる。また参考書等の併用も推奨する。
備考   本科目についての教職に関する科目の扱いは、念のため学修簿を確認すること。
  オフィスアワーについては、都合による変更等もありうるので、講義時などに直接教員に問い合わせること。
9923452